＜お菓子作りには、哲学があった＞
〜リッツで修行・初級編 vol.18〜
カヌレ・ド・ボルドーというお菓子には
これまで随分と悩まされまして
片っ端から色んなレシピを試しましたし
レシピは変えずに焼き時間を変えてみたり
オーブンそのものを買い替えてみたり
カヌレの型を買い替えてみたり…と、
諸々、手を尽くしてきたんですけれども
一度たりとも、キチンと成功したことはなく
10個の型で焼いても大抵は全滅で
辛うじて2〜3個マシなのが出来れば良い方…
あー、
これは一度、誰かに習った方がいいなぁ…
と思いながらも、チャンスに恵まれず
ようやく先週、授業に登場したんですが
特殊な道具も、テクニックも使わなければ
特に目新しくもないレシピだったにも拘らず
サクッと大成功しちゃったもんだから、
なんとも言えない気持ちになりましたがな
これが出来上がったカヌレなんですが（↓）
型から飛び出ることもなかったので
焼き色は完璧なまでに、均等についており
漏蜜を塗った訳でもなかったのに
型からスルリと剥がれて、
綺麗な凸凹（カヌレ）の跡が描かれており
今まで、30回以上も焼いてきて迎えた
初の大成功に、しばし呆けてしまいましたぞ
てか、リッツ、すげー
ちなみに、このカヌレというお菓子は
ワインの街・ボルドーの銘菓でして
ワインの樽を洗う時に余る大量の卵黄を
棄てずに何かに使えないか…ということで
発明されたんだそうで
大量の卵黄＋卵と砂糖、ミルクと小麦粉に
香り付けのラム酒を入れるだけという
とてもシンプルなこのお菓子は
作り方も、
混ぜて、寝かせて、焼くだけ…という
至ってシンプルなものなのに
失敗することも多く、難しいとされる所は
先日のマカロンと少し似ています
が、うちの師匠曰く
マカロンの失敗はロジカルに説明できても
カヌレの失敗の原因を説明するのは不可能…
とのことで
ま、このお菓子が成功するかどうかは
運次第だね、運！
と、笑っておられましたぞ
ちなみに、
今まで30回以上は作ってきて
初めて、ちゃんと成功した…と打ち明けると
そりゃ、運が悪いだけじゃなくて
何かが決定的にオカシイなぁ…
という話になりまして
御大自ら、原材料の性質を調べ始め
どうやらバターに問題がありそうだ…という
結論になりましたがな
フランスのバターは乳脂肪分が日本より高く
リッツが使っているのは乳脂肪分84％
一方、私が日本で使っていたバターは
乳脂肪分が80％しかないため
思い通りの結果にならなかったのでは…？
（ちなみに、日本のバターは殆ど80％）
とのこと
ふむー
なるほど…
ロジカルに説明できないと言っておきながら
最後はロジカルに説明しちゃうあたり
さすがですな
ちなみに、
師匠はロシア資本の老舗パティスリーで
トップシェフをしばらく務めていたのですが
ロシアは乳製品の規格が厳しくないので
乳脂が40％しかないバターも多く存在し
出来上がりが全然思った通りにならずに
とっても苦労されたんだとか
だから、バターは勿論のこと
小麦粉やチョコレートなんかも
品目だけを見て良しとするのではなくて
その商品を構成している成分を正しく理解し
使わないと失敗するぞ
とのこと
へへぇー
今日も大変ありがてぇお言葉、
どうもありがとうございやす
是非とも、今度、
シェフのレシピでカヌレを焼いてみて
運試し 兼 バターが悪かった説の検証を
してみたいと思います
*****
たった一度の人生なんだから
失敗したって思うがままに生きる方が
自分らしいと思ったのが、2019年の春
これから何が起こるかわかりませんが
転んでも前に倒れて、いつも上を向いて
パリの洗礼を沢山浴びながら
毎日を楽しみたいと思います
郷に入れば、郷に従え
この際、パリのことをトコトン好きに
なってみようと思います
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どうもありがとうございました
MICHI
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最近内容がマニアック過ぎてついていけないのが悔しいわ。
カヌレって凸凹っていう意味だったとは！
どおりで筋膜はがし用のローラーみたいだったのか。
材料を聞いちゃうと、ぽっこりお腹が気になる中年オヤジとしては
フレンチスイーツにはなかなか手を出せないですな。
ささてつさん、こんにちは！
コメントありがとうございます！
ぐぬぬ…
やっぱり、マニアック過ぎでしたか…
私も気にはなっていたんです…
ま、筋膜剥がしのローラーも
だーいぶマニアックですけどね（笑）
いやはや、ホントに、フランス菓子は
高カロリーなものが多いですよね…
ちなみに、中東やアフリカはもっともっとすごくて
砂糖の塊みたいなお菓子が多い模様です。
その理由は、お酒を飲まないイスラム教徒たちが
嗜好品として砂糖を大量に摂るからなんだとか。
私のクラスメイトのアフリカ出身女子が、
「甘くないケーキを習いたくて、フランスに来たの」
って言うのを聞いた時には、ぶったまげました。